2008年05月20日

茂木健一郎「どうなるかわからないから人生は面白い」


脳科学者の茂木健一郎さんが「どうなるかわからないから人生は面白い」という講演を以前していました。
大変興味深い内容ばかりだったので、頑張ってテキストにおこしてみました。
講演を聴いているような感じで読めるように、少し口語体も所々入れて書いてみました。
90分の講演なので少し長くなっていますが、あまり省略せずに書きおこすことで臨場感が少しは出るかなと思って書いてみました。
ここに書いた内容は、後で部分部分コメントしていこうと思います。


1.「創造性」と「偶有性」

・創造性というと難しい、自分には関係ないと思っている人が多い。
・技術がどんどん進歩しているが、会話をできるコンピュータはいまだに作れない。
・みなさんが会話をしているということは、すごい創造性の表れなのです。
・なぜそんなに会話が難しいのか考えたことはありますか?
・それは「偶有性」があるから。
・偶有性とは「半分は予想できるけど、半分は予測できない。」ということ
・サプライズがある。それが会話なのだ。
・酒を飲むといつも同じ話をする人がいる。こういう決まりきった話をするのは話の本質ではない。
・脈絡がない会話というのも困りますよね。さっきこの話をしていたと思ったら、次は違う話をして、聞いてる方が疲れちゃうというのは困るわけで。
・実は面白い話をするというのは、大変な芸なんです。
・それは偶有性なんです。半分は予想できるけど、半分は予想できない。
・創造性というのは人生何が起こるかわからないということに非常に関係しているのです。
・どうなるかわからないということを、どのように考えるかというのが創造性なのである。


2.「空白」の大切さについて

・「空白」があるとよい。
・脳というのはそもそも休みません。
・脳の神経細胞は1000億あるといわれているけれど、この細胞たちはわれわれが生きている限り動いている。
・なんとなく働いているときと休んでいるときとあると思われがちだけど、そんなことはない。
・脳はずーと動いています。例えて言うと、心臓のようなもの。心臓と同じで、脳の神経細胞はずっと活動し続けている。
・眠っているときに休んでいると思ったら大間違い。眠っている時は脳は昼間に体験したことを一生懸命整理している。その一部が夢となって現れる。
・最近の研究によると、夢の中には直前の1週間分の体験がごちゃまぜになって現れるといわれている。
・脳が動くのは仕事をしているときに考えたりするときだけが脳の活動期ではない。
・パカーンと休んでいるときでも活動しているわけです。現代の日本人は働きすぎなわけで、休ませたほうがよい。
・パカーンと休ませるとどういういいことが起きるか。
・自分が昔描いていた夢などを思い出したりする。
・春になったら寒さが緩んで花がだんだんほころんでくるような、あるいはずーっと血行がかよってなかったところに血がかよってぽかぽかあったかくなってくるような、そんな気分になった。
・それは2,3日ぼーっとしていないと出てこなかった。どんどん現実を脱ぎ捨てていかないと出てこないもの。
・日本人は1人1人が空白の大切さを大事にしたほうがいいなぁと思う。


3.「プロフェッショナル」になるためには

・「プロフェッショナル 仕事の流儀」でプロの方たちの話を聞いて非常に感銘を受けることある。
・それは何かというと、どうなるかわからないということから逃げないということ。
・どんな仕事にでもどうなるかわからないということがあるんですよ。成功するかどうかわからない。でも、それを逃げてはダメ。逃げるとプロフェッショナルになれない。
・人間そこで成長するんですよ。


4.みんなの脳の中の宝物

・みなさんの人生でどうなるかわからないときってあると思う。そのときに答えがわかっている方、楽な方、楽な方に行くのも手。
・どうなるかわからないという人生に飛び込んでこそ、人間の脳は最も活性化するんです。
・というのも、みなさんの脳の中で一番の宝物は何かというと、感情なんです。
・頭のよさはそれほどではない。感情がみなさんの脳の一番の宝物なんです。
・なぜかと言うと、感情というものは生き物が生きる中で何が起こるかわからないという状況に適応するために進化してきたんです。
・難しい言葉で言うと、「感情は不確実性への適応戦略」である。
・感情というのは人生の中で何が起こるかわからない不確実性への適応の戦略として進化の中で発達してきたものなんです。
・ですから、感情な豊かな人ほど逆境に強い。
・感情が豊かでない人ほど、杓子定規で決まったことしかできないし、組織に染まりやすい。
・優れた人は必ず優れた感情に支えられている。


5.不確実なことに逃げないということ

・ここでみなさんに1つ質問です。
・みなさんの人生は何が起こるかわからないというさまざまな不安とか不確実性に満ちているのですが、これから何が起こるかわからないというのが楽しいか不安かどちらかに決めていただきたい。
・実は創造的であるためには、人生で何が起こるかわからないということを楽しめないといけない。
・不確実なことは誰でも不安
・不確実なことから逃げれば逃げるほど苦しくなる。
・ここにえいやーといって飛び込まないといけない。
・なぜかというと、われわれの生物というものは不確実なことを避けていては、何もできないようにできているんです。
・例えば、皆さん子供の頃を思い出してみてください。
・子供の時って、世の中で決まっていることとかわかっていることはどれくらいありました?
・子供というものは不確実なことにどんどん挑戦しないと成長しない。
・初めてお金をもって買い物に行ったことを覚えているか。そのときの感じのことを覚えていますか?
・思春期になって、初めてドキドキする。ものすごい不確実なことばかりですよね。
・そのとき逃げました?
・逃げたらどうしようもない。
・そうなると人生どうしようもないじゃないですか。
・ということは、不確実性が不安だという人も、実は過去に何回も何回も不確実性なことを乗り越えてきているのです。知らず知らずのうちに。


6.不安とその対策

・それで、なんで大人になると不確実性が不安になってくるのか。
・単純に、知識が邪魔をしているんです。
・人生で生きていくといろいろな経験が出てきちゃう。そして知識が詰まれる。
・でも、知識って邪魔になるんですよ。
・だって、皆さん、子供のときにどれくらい知識がありましたか?
・なかったじゃないですか。
・でも、なくても転んででもつまづいてでも、新しいことに挑戦しませんでしたか?
・知識って、はっきり言うと邪魔なんですよ。新しいことに挑戦するときには。
・もちろん知識が助けになるときもある。
・しかし、あまりにも知識に頼りすぎるということは邪魔になるんですよ。
・なので、不確実なことにチャレンジする、そして楽しむことの第一の秘訣は、「知識にあまり頼らずに自分の感情・直観に頼る」ということ。
・直感、これは感情の働きです。
・創造性を働かせるためには直感を働かせることはどうしても避けては通れないこと。
・直感というのは感情なのです。みなさんご存知でした?
・理性でも論理でも何でもない。
・なんとなくいけそうだ、なんとなくこいつはよさそうだ、なんとなくこいつとは別れたほうがよさそうだ、これは全部直感。
・例えば、プロの棋士は直感で指している。
・羽生さん「将棋の打ち手は直感でわかっている。」
・名人戦(8時間くらい長考する)とはやざしの違いはそのあとに考えて、直感で考えた手の確率を上げるプロセスがあるかないか。
・直感がどうやって出てくるかというと、直感はいけるかいけないかの感情の問題。
・知識というのは全く役に立たちません。
・基本的に不確実性の高いものに挑戦して乗り越えるときは、知識は忘れて、自分の気持ちがどうなっているかいけると思っているか、よしたほうがよいと思っているか、これを信じるというのが非常に大切。


7.子育てのコツ

・子供はなぜ放っておいても不確実なものにチャレンジできるのか。
・イギリスのジョン・ボルビーという研究者が調べた理論が「安全基地」
・子供は安全基地があるから、新しいことにチャレンジできる。
・安全基地とは何か。「安全基地」とは、保護者とか周りの大人が与える安心感。
・迷子になって子供が泣きじゃくるのは、安全基地が失われたから。
・保護者というのは、例え手を取り、足を取り、直接手助けしていないときでも、近くにいて見守っているだけで、子供にとっての安全基地になる。
・安全基地に支えられて初めて、未知のことに挑戦していくことができるわけなんですよ。
・安全基地を提供することが、大人にとってに一番の責務。
・これは過保護とは違う。
・ここの区別はすごく大切なこと。
・安全基地は、あれをやりなさい、これをやりなさいではないと指示することではない。
・あくまでも、子供が自由に自分の興味や関心でチャレンジすることを横から見てサポートしてあげること。
・あと、アイコンタクトも非常に大切です。
・子供は何か困ったときには助けてよという目線を親に送る。
・このときにきちんと見返してあげることが大切。
・目と目が合うと、脳の中でドーパミンといううれしいときに放出される物質が放出されることがわかっている。
・見返してあげることが安全基地になる。
・忙しいので、勝手に遊んでなさいというと安全基地が失われる
・子供に十分に安全基地を与えることが大切。
・ジョンボルビーの研究というのはなぜそんなに重要な意味を持つかというと、「子供が安全基地を失ったときにどうなるか」ということについても研究している。
・ボルビーの理論によると、子供の時に安全基地がなかった子供は問題行動を起こしやすい。
・子供を叱ることはいい。しかし、最後には子供の存在を受け入れてあげないといけない。
・例:勉強できないやつはおれの子供じゃない→これはダメ。これは子供の安全基地を奪っている。
・子供を育てる時の基本的な考え方というのは、
・「いかに安全基地を提供して、後は子供の自主性に任せる。」これにつきるんです。
・これが子供の創造を育む理論。
・ただ、どうしたら子供が自分の自主性でチャレンジする場を提供するか、は簡単なことではない。


8.大人はどうすればチャレンジできるようになるのか

・この安全基地の理論というのは大人にも当てはまると言われている。
・不確実性を楽しめるか不安に感じるかの分かれ目は、今感じている安全基地のレベルによって決まっている。
・大人はどうすれば不確実性にチャレンジできるようになるのか。
・愛着を持つということ。
・ボルビーの理論によると、安全基地を提供してくれる人に対して子供は愛着を持つ。
・つまり、何かに対して愛着を感じる、何かを大切だと思うということは、それが自分にとっての安全基地になっているということなのです。
・ですから、自分の不確実性を楽しめるという人は案外愛するものを持っている。それが自分にとっての安全基地になっている。
・これだけは自分は信じている。これだけは自分は愛している。それが安全基地になる。
・不安だと思っている人は愛着の対象、愛する対象が不足しているのかもしれない。
・何らかの愛着を持てるものを持ってみよう。
・対象は何でもいい。映画、本、音楽・・。
・これを自分の安全基地にしたいと思うものを持つと、本当に人生って助かりますよ。
・自分の不確実な人生を助けてくれる安全基地のようなものが見つかると不安だと感じる人もより積極的に、より前向きに人生に向き合えるようになる。


9.最後に

・美しい欲望を持ちましょう。
・実は、人間の脳は快楽主義者です。
・何か行動をして、その行動がドーパミンという物質を出すと、その前にやっていた行動が評価されるというのが人間の学習の方程式。
・嫌なことは人間の脳は絶対しません。
・うれしいことをやるというのが、自分を変える最大の方法です。
・創造性の最高の形は、自分が変わるということなんです。
・何かを生み出すということは自分が変わるということなんです。
・自分が変わるためには、脳が喜ぶことをやるというのが一番大切なこと。
・欲望は動物的なものと思われているけど、そうではない。
・みなさんにぜひ考えていただきたいことは、自分はどんな欲望を持っているだろうかということ。
・その欲望がみなさんの人生を形作っていくわけで、ひいては日本を形作っていくわけです。
・どういう欲望を持つかというのはほんとに大事な問題なんです。
・今の日本人の欲望はどれくらい美しいか。これは我々一人一人が胸に手を当てて考えないといけないこと。
・人間はこういう人間になりたいという欲望を持つと、先ほどの強化学習でそういう人間に近づけば近づくほどドーパミンが出るわけです。
・行動が強化されて、神経細胞が強化されるわけだから、段々段々、そういう人になっていくのです。
・ぜひ理想の自分を思い描いて、人生の不確実性に果敢にチャレンジすることで、ぜひ創造的な人生を送っていただき、素晴らしい人生を歩んでいただきたいと思う。



本当にすばらしい言葉の数々です。自分でも何度も何度も読み返してみたいと思います。



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posted by Lifehacker K at 08:33 | Comment(1) | TrackBack(0) | 人間力 はてなブックマーク - 茂木健一郎「どうなるかわからないから人生は面白い」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
Lifehacker Kさん
すばらしい内容を紹介して頂いてありがとう。
Posted by ヒロ at 2008年12月17日 00:28
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